前話【P011

「メイヴェルに当たるまで負けない……! そのために来たんだから」
 シルクがふいに静かな、それでいて意志の強い瞳をして答えた。何か、大きな試練に立ち向かう、挑戦的な闘志を秘めた瞳。
「メイヴェル……えっと、知ってる人?」
 ううんと、シルクはかぶりをふった。
「剣聖に一番近い剣士だって言われてる。闘ってみたいんだ。頂点までの距離を、自分のこの剣で確かめたい。あとどれだけ鍛錬を積めば届くのか」
「えっ……と、届くの……!?」
 できっこないとも言わず、素直に信じて驚くカイトに、シルクは微笑んだ。どこか、不敵に。
「届くよ」
 やや傲慢な表情を見せると、えもいわれぬ艶の出るシルクだ。
 豪語した後、「メイヴェルは、優れた剣士を多く擁しているカイム・サンドの族長なんだって」と付け加えた。

≪ 2005.02.21更新 ≫

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