「試合? ……何の?」
「『剣聖』なんだから、剣の試合に決まってるの!」
かちょーん。
「えっ……、だって、シルクさん出場す、するの……? け、剣? あっ、女の人だけの大会??」
シルクはふっと笑うと、「出場資格は無制限、優勝賞金は前金だけで、なんと金貨五千枚だよ!」と、優勝したような顔をして言った。
トーナメントは、シグルド王国が何十年かに一度、主催するものだ。
剣聖は当代ただ一人、その死の翌年、開催される慣例だった。
「……前金?」
賞金の前金て何だろうと、カイトが問う。
「優勝者は、王国が用意する試練への挑戦権を得るんだ。見事、試練を乗り越えたら、晴れて剣聖の称号を授与され、残りの賞金も受け取れるんだよ。片田舎の小国が授与するものだけど、『剣聖』の称号は、最高の剣士の証とされる、剣士の間では、歴史と伝統あるスゴい称号の一つなんだ」
この称号が広く他国まで響くのは、『剣聖』の称号を持つ者達が、各地に数知れない伝説を残してきたからに他ならない。大会そのものよりも、歴代剣聖達の偉業こそが名高い。
「何だか、すごい大会なんだね。一回戦、突破できるといいね」
にこにこと言ったカイトに、