ヴァン・ガーデン物語
第三章 雪月花の物語
〜孤高の女神の美しき庭園〜
■ 第五節 聖域の悪魔 ■
「さあ、ヴァン・ガーディナ。ひと思いにゼルダの喉元を切り裂きなさい。私の悪夢も、あなたの悪夢も、これで終わり――」
皇后宮に足を踏み入れた時から、ずっと、ゼルダを苦しめ続けていた皇妃の悪しき怨念を、遮幕が降りたように、冷たく清らかな感情が遮った。
冥影円環でとらえたそれは、同じ殺意だったのに、あまりに哀しく、優しい感情だった。
【著】冴條玲
【絵】N人様