ヴァン・ガーデン物語

第三章 雪月花の物語

〜孤高の女神の美しき庭園〜
■ 第一節 冥影円環 ■
 
 兄皇子の呪文の詠唱は滑らかで澱みがなく、魔力の乗せ方も見事としか言い様がなく、ゼルダは息を詰め、その全ての手順を記憶に刻み込んだ。
 ゼルシアの皇子の真似など気が進まないと思っていたことも、術のあまりの見事さに、何処かへ吹き飛んでしまった。

【著】冴條玲 【絵】N人様