◆ 賢者様の仲人事情 ◆
〜 男装の姫君と死霊術師皇子のふつうの恋 〜
「レオン、それは、死体だ……」
「……」
「……死体だ。土に還してやらなきゃ、だめだ……」
「…………」
「レオン!」
「………………挨拶は済んだな」
「違っ……」
ふり向いたレオンの頬を、二筋、涙が伝い落ちていた。
レオンが泣くのを、ティリスは初めて見た。
「な、泣いたってだめだ」
「誰が? おまえが泣いてる。何が悲しいんだ」
「おまえだって、泣いてるじゃないか!」
「……? 泣く必要なんてないぞ」
「だから……!」
ロズが静かに、手袋をはめた右手でティリスの肩をつかんだ。
何を言っても無駄だと、首を横にふる。
それは、気付いてはならない真実だから――